株主総会の裏側とは?

今週は、3月期決算企業の定時株主総会のピークですね。

個人投資家の方々も、先週あたりから”株式関係書類在中”の封書がポストを埋め尽くさんばかりに届いているのではないでしょうか。

私は、仕事の関係でよく法務部門の方々と一緒に働くことが多いのですが、(多分ほとんどの企業がそうだと思いますが)私の勤めている会社では株主総会の対応は法務部門の管轄のようで最近法務部の方から聞いた株主総会の裏側について少し紹介したいと思います。

入念な準備

前日には、総会に出席する取締役を含めて入念なリハーサルを行うそうです。

まず、想定される株主からの質問と、それへの返答(いわゆるQ&A)のマニュアル作成ですが、それだけで何百枚もの書類になるそうです。

また、業績悪化や不祥事を起こしてしまった年度の総会では、特に入念な準備を行うそうです。例えば、前日のリハーサルにおいて、法務部の部長級社員が株主役を演じて、きわどい質問を経営陣に投げて罵倒したり、質問した後マイクを離さない(決められた数以上の質問をしようとする)、壇上の経営陣に詰め寄ろうとする、などなど最悪のケースを想定して準備を行うとのこと。

そのような事態になると株主総会が長引くことも想定されます(今まででもっとも長い株主総会は、2011年の東京電力の6時間だそうです。)ので、予め弁護士と相談して”○時間経ったら強制的に終了する”、”質問が長い株主は隙を見てマイクを奪う”、などなど対処方法を決めておくそうです。

当日の対応

当日、壇上の裏側では何十人もの法務部員がスタンバイしており、株主からの質問に対して経営陣の模範返答(カンペ*)をすぐにディスプレイに映し出す練習なども入念に行うとのこと。(以前、配線設備業者のミスで、総会の本番中にディスプレイの電源が切れてしまったことがあるそうで、その業者は永久に私の会社に出禁になったとか・・・。)

*カンペが必要かどうかは、社長の就任年数や会社の規模によって異なるかと思います。(商社やコングロマリット企業の社長にとって、自分が門外漢の事業分野の質問にそらで答えるのは難しいかと思います。一方で、叩き上げで会社を興して自分自身で会社を成長させてきた社長であれば、回答に困る質問というのは少ないでしょう。実際、日本電産の永守社長などは、株主からの質問に対してほとんど自分でスラスラ答えてしまうことで有名だとか。)

また、過去に騒動を起こした要注意株主に対しては、受付係が顔と名前を記憶しておき、その株主がどこのブロックに座ったか、変な行動を起こしていないかなど見張りを立てておくそうです。ただし、その株主も自分がブラックリスト入りしているのを自覚しているそうで、総会が始る直前に席を移動したり、会社(法務部員)側と株主側の静かな闘いが会場で繰り広げられているそうです(笑)

株主総会は会社にとって最も重要な経営意思決定の場ですので、周到な準備が求められることは理解していましたが、改めて法務部の人からナマの話を聞くと「大変だなぁ」と思った次第です。きっとこれ以外にもっと×100色々な苦労があるのだと思いますが・・・。

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